夏にご用心

 たまたま作品作りの都合で、大きなリースベースが必要になったときなど、どうしても真夏にツルを取りに山に入らなくてはいけないことがあります。先ほど本文の中で、「ツルを取るのは、秋か冬がいい」と書きました。
 春夏のツルは、たっぷりと水を含んでいて、しかも、たくさん葉が茂っています。採集するにも、乾燥するにも大変な時間と労力がかかります。というようなかっこいい理由も確かにあることはあるのです。
 けれども、いちばん大きな理由はそんなきれいごとではないのです。
 下草がおい茂っていて「ヤブコギ」は大変だし、ブヨ、ヤブカ、アブなどの虫。ヘビはいるし・・・。それになんといってもいちばん恐ろしいのは、スズメバチ。
北海道だから、ヒグマでも出るのかと思う方もいらっしゃるでしょうが、よほどの深山幽谷にでもわけいらなければ、滅多にヒグマになど遭遇するものではありません。 しかし、スズメバチは別。これまで何度もスズメバチに追いかけられました。刺されると、冗談ではなく生命にかかわるのだそうです。
 一度など、ちょうどいいブドウヅルを見つけて手をかけたようとした瞬間、瓢箪形の小さなスズメバチの巣を見つけて一目散に逃げたことがあります。
 けれども、なんとも立派なツルで、諦めきれなかったので急いで家に帰って、家庭用スプレー殺虫剤をもって引き替えしました。
 分厚い冬用のジャンパーを着込んで、皮の手袋をしっかりとはめて、ちゃんと帽子もかぶって、いつでも逃げられるように車のエンジンをかけっぱなしにしておいて噴射しました。
 こうして6匹のスズメバチを退治して、無事にツルと、瓢箪形のスズメバチの巣を手に入れることが出来ました。
 この時は、巣を直前で発見できて、しかも、スズメバチが遠くにいっていたので事なきを得ましたが、知らずに巣のぶら下がったツルを引っ張ったとしたら、間違いなく刺されていました。
 この点、冬ならば安心です。
 スズメバチは冬になると冬眠してしまいますので、いくら巣をたたこうが、平気です。何より、下草が枯れていて、「ヤブコギ」も苦になりません。
 ただし、ウルシには気をつけなければいけません。 葉があるときのウルシは夏でも真っ赤で誰にでも見分けられますが、葉が落ちたあとのウルシは、見分けるのは困難です。私は数年前、ウルシのツルをリースにして、かぶれてかぶれて、病院で点滴を打ったことがあります。
スズメバチに刺されると死ぬことがありますが、ウルシにかぶれても死ぬことはありませんので、ツルは冬に取るに限ると思っているのです。

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