デザインの基本
| 私はバラの栽培の基本は師匠から学びました。 けれども、妻は、誰からもデザインを学んでいません。あえていうのならば、妻のデザインの師匠は「畑」です。バラの世界に入ってから今年で11年がたちますが、最初の3年間は妻も私と一緒に農場で作業をしていました。もともと妻は、工房にこもって作品作りをするよりも、バラの農場で、雑草と取ったり、バラを切ったりしているほうが好きなのです。 私の仕事は、元気な気分のいい花を咲かせることです。妻の仕事は、ドライフラワーになったバラを中心とした花達を、元気にあるがままにデザインすることです。 デザインする上で、花を良く知っているということはたいへん重要です。 花を良く知っているという意味を誤解している人が多いので少し説明しましょう。 花の名前をたくさん知っている。花の利用方法を良く知っている。こういう人はたくさんいます。けれども、本当に花を知っていることにはならないのです。 子供のことをいちばん良く知っているのは両親ですね。ある時期までは・・・。 同様に、花のことをいちばん良く知っているのは、花のお母さんとお父さんです。つまり、その花を育てた人です。 種を蒔き水を与え苗にして、肥料を与え丹精して咲かせた花。真夏の暑い時期に、長時間しゃがみ込んで雑草を取り除き、風で倒れないように支えを施し、ようやく見事に咲いた花を、1輪たりとも粗末になどできようはずはありません。 丹精して育てた花を、自分の手でデザインするとき、どれほど小さな添え花だったとしても、その花がもっともふさわしい場所を選びます。どの花も、自分のポジションを与えられ、生き生きと、輝いて見えるように心がけてデザインします。 花の名前を覚えるのは、子供の名前を覚えるのと同様に大切なことの一つではあります。 しかしもっと大切なのは、子供に名前を付けることでしょう。子供の将来の幸せを願って名前を付け、慈しんで育てることの方が名前を覚えるよりも大切なのは議論を待ちませんね。 花を育てることを知っている人が、いちばん優れたフラワーデザイナーとなりうると思うのは、私だけでしょうか? 奇をてらう必要などありません。 花の一つ一つが生き生きと、元気にしていれば、それが素晴らしいデザインなのではないでしょうか。時間はたくさんあります。のんびりと楽しみたいものです。 |